<Q>
難しいとされている設計と製造の連携を具体的にどのように実現されたのですか?
<A>
以前は設計が本社の大阪府吹田市、製造が京都府福知山市と離れており、例えば本社で作図した図面を一日一回纏めて工場に郵送するなど、意思疎通において、距離的・時間的ロスが生じていました。
Compassでは、設計から図面と一緒に手配情報を製造部門に渡す仕組みを導入したことで、製造部門がリアルタイムに図面を参照できるようになりました。さらに、出図作業の前に、「新規」「流用」「差替」「修正」「組数のみ変更」「製作中止」など設計者に手配内容を選んでもらい、設計変更情報などと共に、手配に関する情報を分かりやすく図面に表示するような仕組みも用意しました。設計・製造間の効率的な情報連携を実現するために、出来るだけ簡素化・自動化し、製造部門の意向もできるだけ取り込む形で図面受取部分を完成させました。
<Q>
設計製造連携の運用も難しかったのではないでしょうか?
<A>
情報連携システムを用意して図面受取部分を便利にしても、製造部門に活用してもらうのはたいへんでした。今まで慣れていた紙図面中心の仕事から、Compassというシステム中心の仕事に、なかなかスムーズに移行できず、図面・部品情報が下流で活かされない状況がありました。 Compass導入前は、部品手配については、製造側で図面にある部品欄から必要情報を転記し、工程情報を入力。次の工程に進むと、また同じように、オペレーターが部品と工程の情報を入力、そのまた次でも同じようにオペレーターが入力・・・。いわば、バケツリレー型の人手による情物一致オペレーションでした。製造側では、各業務に属人的な要素が強く、一貫したシステム化が難しい状況が存在していたのです。そこで、設計部門でのシステム導入後、工場でCompassを活用するためのプロジェクトを別途立ち上げ、図面・部品情報が必要部門に配布され伝票印刷されるところまで一気にオンライン化し、製造部門内での情報連携を実現することで、手配・製造・組立といったプロセスが、大きく効率化されました。
その後の改善活動においては、製造の各過程における予定・完了の日程情報がCompassに登録されるような仕組みを構築し、Compassを中日程計画にも活用しています。このシステムは、出図の管理だけではなく、実際にモノが出荷されるに至る部分までフォローでき、各物件を機能モジュール単位で追っていける仕組みだという点も特徴です。使ってみると、今までより便利で効率的だと気付いた製造部門では、かなり積極的にCompassを活用してくれるようになりました。Compassを導入した今、特に、工場が劇的に変ったのです。そして、2008年5月に稼動開始した、設計・製造・研究開発の一体化拠点「神戸事業所」への業務移行もたいへんスムーズに行えました。
<Q>
最後にCompassプロジェクトが成功した秘訣と効果についてお聞かせ下さい。
<A>
2005.4月からカットオーバーしたCompassは、これを使わないと出図出来ないような、モノづくりの主軸となる存在です。システムを作ったら終わりではなく、設計部門および製造部門と一緒にどう運用進化させていくかという点までじっくり、納得いくまで議論を重ねてきました。恐らくこの点が、今、うまく運用できている秘訣なのではないかと思
います。
トータルでみると、業務のやり方が、人それぞれ混在していたものが、Compassを通じて、標準化されたことがこのプロジェクト最大の効果だと思います。そして、何より、Compassプロジェクトを通じて、設計部門も製造部門も「やる気になればこれだけ改善できるんだ」という自信につながったと感じています。実は、この点が一番大きな収穫だったのではないかと思います。
