今年こそ、前向きなコスト改革!

2009年度の決算を見ると、黒字回復している企業が増えた。

多くは、リストラによる人員削減、土地建物や設備の売却など、お荷物なものを探し、削っていく。
どちらかというと、後ろ向きなコスト削減である。そんな事を頑張った1年と言えるだろう。

しかし、2010年の各社の動向を見ていると、前向きなコスト改革に取り組む企業が増えたように思える。

◆設計段階でいかに製品コストをマネジメントするか?
◆設計と製造がいかに連携してコストダウンを行っていくか?
◆原価企画をより活動的に行うにはどのようにするか?

このように、製品のコスト構造を改革する 『原価企画』 や 『コストマネジメント』 を仕組み化する動きが出てきている。

筆者は、様々な企業にて、『コストマネジメント』 や 『原価企画』 の仕組みづくりに取り組んできた。
筆者のような外部のコンサルタントに依頼が来る時は、殆どの場合がその企業にて一度は取り組んだが上手くいかなかった。
もう自社だけの推進では上手くいかないので、外部の知識や知恵を借りようとなった場合だ。
平たく言えば、改革に一度は失敗した企業が、外部コンサルタントを活用するのである。

自社で仕組み改革を推進して成功していたら、我々のような外部コンサルタントにはお声が掛からない。当たり前の話である。

筆者が関わった企業様を良く分析すると、改革の失敗には共通点があった。
そこで、主な3つの点に絞って解説をしたい。
逆の言い方をすると、この3つに気をつければ、成功に近づくという事になる。

3回に分けて、解説をしていくので、是非改革推進のヒントにしてもらいたい。


原価 = 精度 ?

成功に近づく(=失敗しない)1つ目のポイントとして、 『精度を求めすぎない』  ということである。どうしても、「コスト」「原価」という言葉を聞くと、ついつい精度良く、詳細にとなってしまうのである。

今まで、コストが見えなかった。もしくは、コストの精度が悪かった。という不満があるところに、今から、仕組みの改革をしようとなると、コストの活用目的を無視し、「どうせなら精度良くしてもらいたい」と思う人が多いのである。

たしかに、精度が悪いより、精度良い数値を提供してもらった方が何かと嬉しいのも分かる。
しかし、無闇やたらに精度を要求してしまっては、データ構造や計算処理が複雑になりお金や時間ばかりかかってしまうのである。
お金がかかりすぎ、検討に時間ばかり費やすことで、そのうちプロジェクトが止まってしまうのである。

皆さんが、要件を伝えるユーザ部門の立場であれば、「どうせなら」という気持ちを捨てて、目的を明確にした上で原価の精度を要望してもらいたい。
この「どうせなら」という軽い気持ちが、全社の重要なプロジェクトが止まってしまうのである。

また、原価を専門にしている方は、複雑な計算処理が出来る仕組みがすばらしいと勘違いしていることも多い。
改革目的、製品構造、業務構造からすると、場合によっては簡易的な原価の仕組みでも十分な場合がある。
しかし、原価の専門家からすると、無意味に複雑な計算処理を作ってしまうのである。

「こんな複雑な配賦処理の仕組みを考えた!これで原価の精度が悪いなど言わせない!」などの、言い訳にするためである。

共通して言えることが、全て"計算"にフォーカスしており、原価を"活用すること" を無視していることが多い。

繰り返しになるが、改革は何かの目的を達成させるためにある。
計算を複雑にし、こだわった計算ロジックを構築することではない。

コストの仕組みを構築する場合は、活用目的を明確にし、それに合った精度を追求してもらいたい。