これまで主に「考える力」にフォーカスを当ててお話してきましたが、今回は少し話題を変えて、考えた結果を「伝える力」についてお話していきたいと思います。

最近よく3次元化された映画やテレビなどが話題になっていますが、皆さんはもうご覧になられたでしょうか?縦・横の2軸である2次元から、奥行きという軸が加わった3次元化により、立体的に表現されることで伝わる情報量が飛躍的に上がり、見ている側もその臨場感に引き込まれることと思います。メディア(機械)を経由しての一方的な情報伝達ですが、曖昧な部分を可能な限り排除した情報伝達手段の一つといえます。

ビジネスの世界で情報伝達するシーンといえば、やはり検討結果を資料(文字)で見せながら、実際に説明(音声)するというプレゼンテーションでしょうか。前述したメディアでの情報伝達と比較すると、対象相手とリアルタイムに相互にコミュニケーションできることが異なる点といえますが、それでも考えがうまく伝わらずに四苦八苦することが往々にあります。環境や立場、価値観が異なる人に時間的制約がある中で、自分の思いをまっすぐに伝えることは非常に難しいものです。

情報伝達するためのコミュニケーションは、大きく「言語」による伝達と「非言語」による伝達の2種類あると言われていますが、ここでは「言語」による伝達として、書き言葉(文字)話し言葉(音声)について考えてみたいと思います。

書き言葉(文字)による伝達
以前、こんなことがありました。
ある課題に対して、自分なりに検討した結果を案ベースで資料化を行い、レビューを受けた時のことです。私は上司に説明した後、最後に「それは案なのか。それだったら、資料に"案"と書け」と言われました。そこで初めて気づいたのですが、上司と私の間で認識のズレが発生していたのです。私は初めから案ベースで相談していたつもりが、上司から見ると、不確実なことがなく考え抜かれた結論の可否を問われていると思われていたのです。

同じ資料、同じ説明方法だとしたら、勿論、お客様とも同じ認識のズレが発生しますよね。こちらはまだ不明瞭な部分があることを認識していて、「ジャストアイデア」として一緒に議論することが目的であるにも関わらず、完成したものと認識される。その内容に抜け・漏れがあったり、論拠がなかったりすると、信頼を失うことにもなります。これはとても些細なことですが、大変重要なことです。

要はその資料の目的として、相手に何をしてほしいのか(決定するのか、一緒に検討するのか、検討をお願いするのか)、を明確にして資料中に表現することが重要です。

話し言葉(音声)による伝達
分かりやすい、伝わりやすい話し方とはなんでしょうね。相手が理解できる表現を使用する、相手の理解度を測りながら話すなど、考えると色々ありますが、私が最も意識していることは「接続詞」です。

「接続詞」は文と文の関係を表しており、それは論理そのものといえます。「順接」であれば、前の部分の内容から結果となる、「逆接」であれば、前の部分の内容とは逆の結果になるもの、などなど。

資料として完成した後、スピーチの準備を行うと思いますが、言うこと全てを原稿にまとめても、聞き手を見ながら説明する内容を変更したり、途中で質問を受けたりと、往々にして予定通りにはなりません。そもそも言いたいキーワードは資料に表現しているはずなので、それらがどういう関係であるか整理して、話す際はどの「接続詞」を用いるかを予め決めておくだけでいいはずです。その作業こそが論理を整理、又は形成しているといえます。

こうすることで聞いている人は、次に結果を言うのか、まとめ・要約を言うのか、これまでと全く逆のことを言うのか、それぞれの繋がりが分かるので理解しやすくなります。

「考える力」と「伝達する力」は両方必要
論理的思考を用いてお客様要件に合致した検討を行ったとしても、それを相手に正確に伝達できなければ、良い成果(=評価)は生まれません。つまり、「考える力」と「伝達する力」という2つの力は、ある一定レベルで身に付けておくべきスキルであり、どちらか一方でも欠けてはいけないスキルです。いずれの力にせよ、論理的であることが必要だといえます。